UGCとは? ECサイトで活用するメリットや注意点、事例をご紹介


SNSの普及に伴い、ECサイトの売上アップを目指すマーケティング施策としてSNS上の消費者の「UGC」を活用する事例が非常に増えてきています。

この記事では「UGCとは何か」「UGCを活用したマーケティング事例」など、世界中で注目されているUGCをECサイトに活用すべき理由と、その方法をご紹介します。

目次

1. UGCとは?
2.マーケティングにUGCが求められる理由
3.ECサイトがUGCを活用するメリット
4. UGCを活用する際の注意点
5. UGCに向いた商材とそうでない商材
6. UGCを生成するための手法
7. インスタグラムのUGCを活用した事例
8. ECサイトにおけるUGCの活用サイクル
9.まとめ

UGCとは?

UGCとは?


UGCとは、"User Generated Contents"の略称で、日本語では「ユーザー生成コンテンツ」と呼ばれ、企業が発信している情報ではなく消費者を始めとしたユーザーによって作成、発信されたコンテンツのことです。
 

UGCというと難しく聞こえますが、Instagram(インスタグラム)やFacebook、TwitterといったSNS上の投稿や、食べログ、レビューサイト、まとめサイト、電子掲示板(BBS)、ブログサイトなどに投稿されたテキストや写真などがすべてUGCに当たります。
 

UGCと似た意味を持つ言葉にCGMがあります。CGMは"Consumer Generated Media"の略称で、UGCの投稿でコンテンツができていくメディアのことです。
 

各種SNSやクックパッド、知恵袋、掲示板などが代表的なCGMで、テキストや写真といったUGCが掲載される場所(サイト)そのものがCGMだと考えると、2つの違いがわかりやすいのではないでしょうか。

UGCが企業のマーケティングに求められる理由

UGCがマーケティングに求められる理由

 


UGCが重要視されている理由として、デジタルが一般的になったことで情報が増え、企業が発信するオフィシャルな情報よりもその企業の顧客(消費者)から意見を聞きたいというニーズが高まっていることが挙げられます。
 

近年のユーザーは、目にする情報量の増加に伴い、ネット閲覧中に広告を目にする機会も増えています。しかし、インターネット上で目にする広告は、ユーザー目線で見ると煩わしさを感じるものがあるのも事実です。
 

一方で、近年はSNSの存在感が増し、ユーザーはSNS上の投稿を信頼できる情報として参照し、商品購入を決めるケースもみられるようになってきました。
 

レビューページまでわざわざ閲覧しに行く必要がないうえ、SNSの機能によってUGCが拡散され、多くの人に情報が伝わりやすくなった点も見逃せません。

このような時代や消費者の行動の変化に伴い、広告などの従来のマーケティング施策以外でも顧客を獲得するための手法として、UGCは注目を集めています。

ECサイトでUGCを活用するメリット

ECサイトでUGCを活用するメリット


EC事業者の間では、ユーザーが特定できるインスタグラムのUGCを活用するケースが近年は増えてきました。

ECサイトの運営に置いて、UGCをマーケティングに活用するメリットには、どのような点が挙げられるのでしょうか。UGCをマーケティングに取り入れるメリットを2つご紹介します。

① 信頼感を持たれやすい

企業の発信する広告は、基本的には商品のメリットを前面に押し出したものです。

ユーザーからすると、欠点が見えづらい主張と捉えられてしまう恐れがあります。一方で、商品を実際に使用した一般ユーザーの意見なら、長所や欠点も含めて、商品に対する客観的な評価が集まりやすいです。

また、一般ユーザーの投稿の方が、自身が実際に商品を使用しているシーンをイメージしやすい点もUGCのメリットです。

例えばファッションの場合、細身でスタイルが良いモデルの着こなしを確認するよりも、体格が近い一般ユーザーがインスタグラムなどに載せている着こなしの方が参考にしやすいことも考えられます。

ユーザーにとっては、企業のプロモーションよりもUGCの方が説得力を感じやすく、使用時のイメージも沸きやすいため、信頼感や共感を集めやすいのです。

ただし、Amazon(アマゾン)や楽天でもおなじみの「ユーザーレビュー」はUGCの一種ではあるものの、2020年9月にはアマゾンのユーザーレビューがフェイクだったというケースが発覚するなど、今は匿名性のUGCは消費者に受け入れられにくくなっています。

② ユーザー視点で商品を紹介してもらえる

UGCでは、企業が想定していなかった角度からユーザーが商品を紹介することもあります。

企業側が思いつかなかった新しい使い方を知ることで新しいマーケティング施策に取り入れたり、新商品開発の際に意見としたりすることができます。

また、ユーザーからの意見は高評価だけとは限りません。「すぐに壊れた」「使いづらい」といった、否定的な意見が投稿されることもあるはずです。同じ内容の否定的な意見が何件も寄せられている場合は、その投稿をもとに商品を改善していくこともできるでしょう。

UGCを活用する際の注意点


UGCを活用する際の注意点


UGCをマーケティングに取り入れることで、企業はメリットを得られるばかりではありません。UGCを活用する際は、注意しなればいけないことも多いため、事前に注意点を確認しておく必要があります。

著作権の問題

UGCの著作権を持っているのは、写真や口コミといったコンテンツを投稿したユーザーやプラットフォーム側にあります。無断で投稿内容を商用利用した場合は、著作権違反となってしまう点に注意が必要です。

また、写真や動画の場合、他のユーザーや他社商品、ロゴなどが一部に写り込んでいることも考えられます。そのようなUGCは肖像権や著作権、商標権を侵害するため使用できません。

企業がUGCをマーケティングに活用したい場合は、UGCを投稿したユーザーに必ず掲載許可を取り、投稿が肖像権や著作権を侵害していないか確認する必要があります。

クオリティーのばらつき

UGCはプロが作り上げたものではなく、あくまでも一般のユーザーが生成したコンテンツです。ユーザーの技量次第で、コンテンツのクオリティーに大きな差が生まれてしまうこともあります。

ユーザーが生成するという性質上、情報の正確性も担保されていない点にも注意が必要です。悪意の有無に関わらず、間違った情報のUGCが生成、拡散されてしまう可能性も捨てきれません。

クオリティーのばらつきや低品質化、不正確な情報の拡散を回避するためには、ユーザーが高いクオリティーのUGCを作りたいと思う商品やサービス、キャンペーンを提供するといった対策を行う必要があります。

UGCに向いた商材とそうでない商材

UGCに向いた商材とそうでない商材


UGCはすべての商材に取り入れられるわけではなく、向き不向きが存在します。

UGCが生まれやすく向いているとされるのは、人におすすめしたいと思わせる商品や、自己表現の一環として写真をSNSなどにアップしやすい商品です。具体例としては食品やアパレル用品、コスメ、飲食、映画、本などが挙げられます。

商品を購入するターゲット層がTwitterやインスタグラムなど、ユーザーが簡単に投稿を行いやすいSNSを利用している場合も、UGCが発生しやすいといえるでしょう。インスタグラムの場合、利用者は若い世代の女性に多いため、若年層の女性をターゲットにしている商品はUGCが発生する可能性が高いです。

一方で、日常的に使用していて話題に上りづらい商品や、誰にも知られずに使いたいコンプレックス商材、購入者が極端に少ない商品などは、UGCが生まれづらいです。

ただし、上記はあくまでも一般的にそう言われているだけで、商品やサービスの特性によってはこの限りではありません。UGCが生成されづらい食品やコスメ、UGCが生成されやすいコンプレックス商材があるケースも考えられます。

各種SNSの投稿などを分析したうえで、自社の商品はUGCが生成されやすいのか?判断する必要があるでしょう。

UGCを生成するための手法

UGCを生成するための方法


UGCをマーケティングに活用するためには、前提条件としてUGCを生み出すユーザーがいなければいけません。

UGCの発生は企業側がコントロールできるものではありませんが、自然に生まれるのを待つのではなく、企業側が積極的にUGCの生成を促す施策を実施する必要があります。

では、具体的にどのようにすればUGCを生成できるのでしょうか。手法の一例をご紹介します。

SNS上でキャンペーンを行う

指定したハッシュタグを付けて投稿したユーザーに、抽選で賞品をプレゼントする「ハッシュタグキャンペーン」は、UGCを生成する手法のひとつです。他にも、商品レビューを投稿することでポイントやキャッシュバックを得られるキャンペーンも有効です。

企画立案や設定、賞品の用意などの手間はかかりますが、ユーザー側にもメリットがあることから、短時間で多くのUGC生成が見込めます。

企業側がハッシュタグによるお題を指定することで、UGCのクオリティー管理も行いやすくなるでしょう。

ユーザーとのコミュニケーションを増やす

ユーザーとの接点やコミュニケーションを増やすのも、UGC生成のきっかけづくりにつながります。例えば、自社商品を紹介しているユーザーの投稿をシェアしたり、コメントを返信したり、定期的にメールマガジンを送信したりするのが一例です。
 

必ずしもUGCが生成されるわけではありませんが、ユーザーとのコミュニケーションを増やすことで、企業や自社商品に対する他ユーザーからの興味関心を惹きやすくなります。
 

また、SNSアカウントや公式サイト内で、UGCを募集していることを告知し、オリジナルハッシュタグの認知度を高めるなどの工夫も必要です。

詳しくは、「 【食品企業向け】SNSマーケティングを成功に導く5つのステップ 」でも紹介しています。

インフルエンサーを活用する

各SNSで高い認知度や影響力を持つインフルエンサーを活用するのもおすすめです。

インフルエンサーに商品の紹介や使った感想をSNSに投稿してもらうことで、フォロワー(ファン)によるUGCの生成を促すことができます。

UGCはユーザーが投稿するという性質上、SNSで活躍するインフルエンサーを起用したインフルエンサーマーケティングとの相性が良いといえるでしょう。

ただし、ステルスマーケティングと取られないように広告であることをしっかりと投稿内に表記しておく必要があります。また、一度に多くのインフルエンサーが似た内容の投稿を行った場合は、反感が増してしまう恐れがある点もデメリットとして挙げられます。

インスタグラムのUGCを活用した事例

UGCマーケティングは海外では定番のマーケティングの1つで、UGCを活用していない企業を探すほうが難しいといわれていて、企業や目的によってECサイトにおけるUGCの見せ方やクリエイティブの種類は様々です。
 

UGCを活用したマーケティングの中でも、インスタグラムのUGCはTwitterや口コミと比べ、投稿を発信したユーザー像がわかりやすく、「実際に商品を利用した消費者の体験やリアルな声」として受け入れやすくなります。

ここではECサイトとの相性が良い、インスタグラムのUGCを活用し、注文率・売上アップに成功したUGCマーケティングの事例をご紹介します。

投稿画像だけでなくユーザーの"本音"を掲載


JR東海 投稿だけでなくユーザーの本音を掲載



JR東海が運営されている沿線地域の逸品や名産品などのご当地の"いいもの"を販売するECサイト「いいもの探訪」では、 インスタグラムの投稿画像だけでなく、ユーザーのコメントも掲載。

商品に対するユーザーのリアルな意見として商品の特徴や魅力を訴求できるだけでなく、商品に対する率直なコメントやユーザー目線の評価が売上につながる重要なコンテンツになっています。

一般的なレビューと比べてポジティブなコメントが多いだけでなく、企業から発信したコメントより信用性が高いことも、ECの売上向上に繋がっています。

UGCをキャンペーンに活用

unicoのUGC投稿キャンペーン


「肩の力を抜いた自分らしい暮らしの提案」をコンセプトにおしゃれな家具を販売する、株式会社ミサワ(unico)では特定のハッシュタグを利用し、UGCをキャンペーンに活用することでファンコミュニケーションの場を生成しています。
 

キャンペーンでのUGC活用は、ユーザーが商品や商品を使用することで得られた体験をインスタグラムに投稿するハードルを下げ、効率的かつ自然にUGCを生み出すことができます。
 

これからUGCマーケティングを始める企業もすでに始めている企業もUGCを生み出すきっかけづくりとしてキャンペーンは効果的であるといえます。また自分の投稿が自社のECサイトに掲載されることで、ユーザーは企業に対し親近感を感じるため継続的な投稿収集が見込めます。

動画UGCの活用でより詳しい商品情報を訴求

ダルトンのUGC活用事例


インテリア雑貨メーカー、株式会社ダルトンではUGCから生まれた動画をECサイトに掲載しています。
 

インスタグラムの動画UGCを活用すると、商品の細かなデティールやイメージをより詳細にユーザーへ訴求することができるのはもちろん、企業では作成に時間のかかる動画コンテンツ、静止画では伝えきれない商品の情報も、UGCを活用することで簡単に伝えることができるのです。

UGCなどの動画を活用し、動画コマースを実施している事例は「 動画コマースを実施するECサイト事例10選!インスタライブ活用からWEB接客まで 」の記事もご覧ください。
 

ECサイトにおけるUGCの活用サイクル

UGCをECサイトへ導入しビジュアルマーケティングとして活用する際のサイクルは以下の4ステップです。
 

ECサイトでUGCを活用するサイクル

① UGCを集める

まずはハッシュタグやキャプションなどの自社に関連するキーワードを軸に掲載したいUGCを検索し、投稿を収集します。

② 掲載の許可を取得

使用したいUGCを収集したら、ユーザーに投稿の掲載許諾を送ります。この時、写真に著作権や肖像権などを侵害する恐れがあるものが写り込んでいないかを確認しておきましょう。
 

基本的に「見て欲しい!」という好意から、自社に関連するハッシュタグを付けて投稿してくれているユーザーがほとんどです。申請のコメントを通じてユーザーとのコミュニケーションが生まれ、企業とのエンゲージメント向上に繋げることも期待できます。

③ サイトに掲載する

許諾を得たらさっそくUGCをECサイトに掲載しましょう。

UGCが掲載されたECサイトは、非常に華やかに楽しいサイトになることと、信頼性の向上が見込めます。

④ 効果検証をする

UGCを効果的に活用し、売上を伸ばすためには「効果検証を元にしたUGCの収集」が鍵です。

むやみやたらとUGCを収集・掲載しているだけでは、マーケティング施策の成果が上がらないことが考えらえます。商品の認知につなげたい、売上につなげたいなど、目的を考えながらUGCを収集することが大切です。

定期的にどのクリエイティブがクリックされやすいのか、売上につながるUGCを収集しましょう。

UGCを活用したマーケティング施策を実施しよう

今や日本中の多くの企業が注目、取り入れつつあるUGCマーケティング。ユーザーの投稿なので、消費者は使用するイメージがわきやすく、親近感を覚えやすいなどのメリットがあります。

企業では生み出せないリアルで日常感のあるUGCがあれば、ECサイトに訪れた消費者の購入イメージを膨らませ、注文率のアップにつながるでしょう。

UGCマーケティングを成功させる鍵は、効果検証をしっかり行い、4つのサイクルをしっかり回すことが非常に重要です。